ハードルいったいいくつあるのか その4

 高知に戻り、あらためて父の退院日を探った。増築工事はおそらく4月中には終わる。しかし丁度工事が終わる頃がゴールデンウィークとぶつかる。飛行機のチケットが取れない。ふたりならまだしも、父を連れて帰るのにわたしひとりでは心もとないので、夫と3人分の並びの席を取らなければいけない。3月の帰省でも、コロナの規制緩和の影響か飛行機は家族連れでいっぱいだった。その上チケットがもーれつに高い。病院の相談員の方に事情を説明して、退院の猶予をお願いした。今回は病院側の理由で退院がキャンセルになったのでゴールデンウィーク後というかなり先の日程にも関わらず了解して頂いた。

 そして父の出立の日は5月9日に決まった。

 今日現在、父の部屋は順調に仕上がっている。外壁工事、外階段、電気・水道の工事が済めば、父を迎え入れられる。収納はないがその分広々とした部屋だ。父がいつも座っていた大きなリクライニングの椅子もゆったり置ける。南側の窓からは畑やら山やら田舎の風景が広がり、ツバメが飛び交っている。別の小鳥の声が遠く低く聞こえてくる。父の晩年が穏やかに過ごせることを切に願う。