ハードルいったいいくつあるのか その1

 ひとつひとつは大したことではないのかもしれないけれど、浮足立っている身としては毎度軽いボディブローだ。

 前回の更新から少々経っている。読み返すと、ブログ上はスルーしているが、わたしの中では一筋縄ではいかないことの連続だった。

 それはおもに父のために用意している部屋の増築問題。難しい条件のために専門家に相談しながら何度も練り直した。予算の方も家族会議でなんとか算段した。

 いよいよという矢先に大工さんから工期が大幅に遅れるとの連絡が来た。5月も無理かもしれないと言う。病院は最長3月いっぱいまでしか入院出来ないと宣告されていた。とても5月まで待ってもらえない。

 「急ぐのであれば別の大工さんを探してほしい」と言われたが、あたってみたものの2月、3月はこの業界は混むものらしい。割り込む隙もなかった。しかもわが家の難しいリクエストに応えてもらえるとは到底思えない。頭を抱えた。

 こちらでお世話になっているケアマネさんに相談して、増築工事が終わるまでの父の一時受け入れ先を探して頂いた。

 しかし療養施設は1か月を超えそうな受け入れは不可。しかも父の現状は医療行為を必要としない状態なのでそもそも受け入れる要件を満たしていない。グループホームは当地の場合、女性の受入れが多く父を受け入れてくれるところがない。ショートステイも空きがなかった。

 唯一見つかったのが、老人ホームの短期入居。本来、短期の入居は行っていないそうなのだが、無理を言って都合をつけて頂いた。そんな折、わが家の状況に同情して当初お願いしていた大工さんが、他の案件をあとにして、わが家の工事を先行してもらえることになった。ありがたい!

 しかし喜んだのもつかの間、提示された金額が当初聞いていた額の軽く倍以上。予算を超えている。少しでも抑えなければならない。大工さんの手当をさわるわけにはいかないので、資材や設備をいかに抑えるか、親しい方のツテを頼ったり、ネットを駆使して直接発注をしたり、建築についてそれほど詳しいわけではないので、大工さんに相談しながらどうにか手の届く額に近づいた。大工さんはじめ、水道工事屋さん、電気工事屋さん、サッシ屋さん、板金屋さん。感謝。

 諸々図面に落とし込み準備が整って、3月の晴れ予報を待って着工、というところまでどうにかこぎつけた。

 ところが着工を前にわが家には足場を組む場所がないとのこと。公道利用の許可が取れないことが分かった。足場が組めなければ工事が出来ない。職人さんの命に関わる。どうしたらいいのか皆目わからない。

 困り果てていたところ、棟梁が、こっちでなんとか足場を作ってやってみるわと提案して下さった。安全に作業が出来るのだろうか、不安ながらすがるしかなかった。棟梁と若い大工さんとでなんとか足場が出来た。

 小さな2階の一部屋をつくるために、8人の大工さんが屋根の骨組みをつくってくれた。3日後が雨の予報だったため突貫工事だ。

 予報通り3日後の雨は結構な降りだったが、大過なく雨は過ぎた。

週明けから屋根にガルバリウム鋼板がつけられ、着々と作業が進むかに思われたが、またも天気予報は雨。しかも何日か続くとのこと。晴れ、雨となかなか安定しない天気模様。

 刻々と父の退院日が近づく。父の一時預かり先の老人ホームでの契約日になった。諸々の説明を受けていざ契約となったところで、契約書の内容に目を疑った。12か月未満の入居の場合、敷金2か月分の返金は行わないとの文言が。「え?!聞いていない…」増築工事で節約した分がなんの意味もなくなる額。ここにきて、契約しなかったらどうなるのか分からなかったが、とりあえずこの場でハンコを押すことは出来なかった。

 どうしたらいいのか…???

《続く》