2023.2.9
10:19pm
T. ひろこ?
H. 《久しぶりなのに、わたしが名乗る前にわたしの名前が出て来た!》そうそう、ひろこだよ
T. あー。××さんって方かな。電話を入れてくれてさ《しかも電話をかけてくれた看護師さんの名前もするっと!》
H. ごめんねー
T. ひろこがいるよって言われてさ
H. そうそう。久しぶりにお父さんの声が聞きたくなったから
T. 今どこにいるわけ?
H. うん、いまね、高知のおうちにいるよ
T. 高知かぁ。四国の…《高知→四国が分かってる!》
H. そうそう。四国の高知に引っ越したからね。おうちが出来たからそこに住んでるよ
T. そう、すごいなぁ(笑)
H. あははは。ちっちゃい家だけど、お父さんにも来てもらいたいなぁと思って
T. ああそう。おれも行ってみたいけど、行きにくいなぁ。いまのアレだと
H. そうだねぇ。退院決まったら、迎えに行くから
T. ああそう。はいはい(笑)
H. 一緒に来てくれたら嬉しいなぁと思って
T. はいはい。じゃあ行かしてもらうけれどもさ。あんたが来て連れて来てくれたらさ
H. もちろん!(笑)…お父さん、元気そうだね
T. え?元気だよ。いや、ここ今うちじゃないからさ
H. そうだね。うんうん
T. ね
H. うん。いっぱい人がいるでしょ?
T. うーん、いっぱいっていうか…そうでもないよね
H. そうなんだ。へぇ。おもてに出たりするの?
T. えーっとね、ここ入ってからはアレだね《お庭とかには出ていないのかな?》
H. じゃあ、大きい部屋と自分の部屋とを行ったり来たりとかなんだね
T. うーん…それはあんまりないね。行ったりどうこうっていうのはね
H. ああそう(笑)
T. またおれ、こういうの聞いてもさ、すぐ忘れちゃうからさ、なんか書いたものをさ、ちょっと何日にとかさ、どこにいるとかさ、ちょっと書いてもらいたいんだよ《忘れることを自覚してる!しかもメモを欲しがってる!》
H. うんうん。決まったら、そういう風にするよ。でも今まだはっきり決まってないんだよ
T. ああそうかぁ
H. だから大丈夫。今は書かなくて大丈夫だから
T. ああそうかね
H. でもちょっとお父さんの声聞きたくなっちゃったから、電話かけてもらったんだよ
T. そうね
H. そうそう(笑)… 朝ごはん食べて、いまちょうどくつろいでたところ?
T. そうだね。うんうん。昼のアレがね《お昼にはまだ早いが分かってる風》
H. そうだね。お昼もうちょっとあるから待たなきゃなんないね
T. ね。うんうん
H. (笑)
T. まあいいや。またアレだ…えんぴつを持ってないから、あんたのアレを…《メモ出来ないと言いたい様》
H. はいはい。決まったらえんぴつ持って来てもらうようにするから大丈夫(笑)今日はちょっと声聞きたかっただけだから、書くことないから大丈夫だよ
T. どうもどうも、ね。ありがとねー
H. こっちこそ、またね。ばいばーい
T. よろしくー。はーい。またねー!
通話時3分54秒
父の訴え《迎えに来てとか、連れ出してとか》があまりにもないので、拍子抜けして、わたしの方が言葉がしどろもどろ。お父さんの方から電話を切ろうとするので通話時間も4分弱。アルツハイマーの進行って急にゆっくりになったりするのだろうか。それとも、環境に慣れたから優等生になったのだろうか。