取扱い注意

 父にデイサービスを利用してもらいたいが、受け入れをしぶられる。父は癇に障るとげんこで威嚇したり、施設のものや人様のものを自分のものだと主張したりするのだがそれらが主な原因と思う。アルツハイマーであればわりと一般的な傾向ではないかと思うのだけれど、施設側から「一人の方につきっきりというわけにいかなくて…」とか、「うちのスタッフのスキルがなくて…」などと言われると、家族としては「それでも父をお願いします」とはなかなか言えない。

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父が来て3週間

 なかなか記録が書けない。

 こまごまとしたエピソードはアレコレあって身内としては面白いのだけれど、およそわたしがブログに割く時間が取れない。

 時間がない理由は、同居家族が増えたことによる事務手続きが多いこと。移動にともなう役所関係の手続きやら、父が受ける介護サービスに関する手続きやらに時間が取られる。案外父自身に対してかかる時間は思っていたほどではなかった。いまのところ父は一日三度の食事を十二分に摂り、ついでに10時と3時のおやつももりもり食べ、相変わらずお風呂に行きたがらず、入院していた時より宵っ張りで朝は早く、そのサイクルに合わせるのが少々疲れる。当然ながら夫とふたり気ままに暮らしていた時の様にはいかない。慣れていくしかない

 それでもありがたいのは、機嫌のいい時の父は何をしてもらっても、「悪いね」といったねぎらいの言葉が出るところ。認知症になる前の父は、人にすまないと思う様な殊勝な人ではなかったので、自分があたかも善行を積んでいる様で心地いい。

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至近距離父さんとの生活はじまる

 一週間経った。「つつがなく」との願いは届いた。父は大荒れすることなく、それどころかむしろ新しい生活を受け入れ、穏やかな日常を重ねている。

 これも父が5か月という異例の長さで入院させてもらえたおかげだ。薬を服用する習慣が身につき(かつてはもらった処方薬をその日に捨てた)、食事に文句を言わない人になった。同居にあたって薬と食事が最大の心配ごとだった。どちらもクリア出来たのは病院での手厚いケアのたまものとつくづく思う。もしこのブログを、病院の関係者のどなたかが読んで下さっていたら心から感謝申し上げます。退院の日にお会い出来なかった先生や看護師さん、ケースワーカーさんにも。ありがとうございました。

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自信はないけどとりあえず至近距離父さん

 明日(おっと今日だ)父を迎えに行く。

9日には父はこのうちにいることになる。

 今日電話で看護師さんに父の様子を伺った感じでは、食事はほとんど残さず食べてる様子だし、トイレもひとりで行けており、日中も荒ぶることなく、レクに参加したり、部屋でお昼寝したり平和に過ごしているのだそう。この調子で高知生活もつつがなく送れればいいのだけれど。

 家が完成するにつれ、まわりから「よかったね」とか「親孝行出来たね」とかの声をかけてもらっている。プレッシャーが半端ない。まだ何もはじまっていないので、期待にお応え出来ない時のことを考えると、立ちすくんでしまう。

 とりあえず一日一日を越えて行こう。

ハードルいったいいくつあるのか その4

 高知に戻り、あらためて父の退院日を探った。増築工事はおそらく4月中には終わる。しかし丁度工事が終わる頃がゴールデンウィークとぶつかる。飛行機のチケットが取れない。ふたりならまだしも、父を連れて帰るのにわたしひとりでは心もとないので、夫と3人分の並びの席を取らなければいけない。3月の帰省でも、コロナの規制緩和の影響か飛行機は家族連れでいっぱいだった。その上チケットがもーれつに高い。病院の相談員の方に事情を説明して、退院の猶予をお願いした。今回は病院側の理由で退院がキャンセルになったのでゴールデンウィーク後というかなり先の日程にも関わらず了解して頂いた。

 そして父の出立の日は5月9日に決まった。

 今日現在、父の部屋は順調に仕上がっている。外壁工事、外階段、電気・水道の工事が済めば、父を迎え入れられる。収納はないがその分広々とした部屋だ。父がいつも座っていた大きなリクライニングの椅子もゆったり置ける。南側の窓からは畑やら山やら田舎の風景が広がり、ツバメが飛び交っている。別の小鳥の声が遠く低く聞こえてくる。父の晩年が穏やかに過ごせることを切に願う。

 

 

ハードルいったいいくつあるのか その3

 「もう来週か、父を高知に連れて来るのは」と思っていた矢先に、父の入院している病院から電話があった。3日前に病棟でコロナ感染者がひとり出たという。来週月曜日までに陽性者が出なければ退院に問題ありませんが…とのことだった。ひとりだけならそのまま収束してくれるだろうと、どこかで思っていた。しかし、週明け月曜の朝、また一人陽性者が出ましたと連絡が来た。翌々日にはもう二人陽性者が…と、申し訳なさそうに後任の医師から電話があった。

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ハードルいったいいくつあるのか その2

 病院が認めた退院日の期日は3月31日。もともと3か月の入院ということで、父の医療保護入院が認められた。12月16日に入院した父は本来、もう少し早く退院しなければならなかった。それでも迎え入れる長女の家があまりにも遠方のため情状酌量の余地ありということで、特例的に3月末まで延ばしてもらった。

 しかし受け入れ先の長女の家(わが家)の2階増築工事は3月16日時点でやっと1階の屋根が取っ払われ2階の屋根がのったところ。2階は外壁さえない。とても父を迎え入れる状態ではない。

かといってわれわれ夫婦のいる1階は、5畳ふた間と土間。あとは台所・洗面・風呂・トイレでおわり。そこに大人2人と、おとな猫いっぴきがおり、わたしの仕事スペースもそこに含まれる。とても父の介護ベッドを入れる余地はない。現時点で父はどうしてもどこかの施設を一時利用するしかない。

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