入院の日決定

 いよいよ。その日が決まった。区内の脳神経外科で、父にみっちり検査を受けてもらう日だ。母への暴言や、手を上げる行為が、腰痛の悪化に伴ってエスカレートしていた。物が見つからないのも、イライラの原因になっている。この前の帰省の際は、入れ歯だけでなく、自宅のカギが束ねられたキーホルダーや、財布もナイナイと荒れていた。

 短期記憶が本当にあやしい。機嫌よく話していても、1秒前言ったことと真逆のことを言ったりする。母と平和に実家で生活を続けてもらうなら、いま検査をしておくことは必至だ。しかし、父は必ず拒絶するだろう。本人の同意なく、家族の同意だけで、入院をさせることを「医療保護入院」というらしい。父には気の毒な様だが、父のためにこそ、いまシロクロつけるのが大事なのだ、と自分に言い聞かせる。晴れて記憶の低下の原因が分かり、投薬治療を積極的に行える父に変貌したら、いままで同様、父は自分の建てた家で余生を送ることができるはずなのだ。おそらく。

 でも…ほんとうにそうなるだろうか。そもそも父を病院に連れて行くことは可能なのだろうか。明日、あんすこのYさんと作戦を練る予定。先のことを考えると、胸が苦しい。