父が起きて来ない

 今朝も母の電話から始まる。お父さんが起きて来ない、という。

 さすがに丸1日食べないくらいで、どうこうなるとは思わないが、血圧が200なので何があってもおかしくないと、日ごろからおどかされている。すぐに父の部屋の電話にコールした。

 なかなか出ない。腰が痛いからすぐに出られないだけだろうと思う。たいがいわたしは、悪い方に考えすぎなのだ。入れ歯が見つからない、それくらいで…。

 「あー、もしもし」

 父ののんきな声。心配したよーと言おうと思ったら《その先も言おうと思ったら》、父がもじもじした感じで何か口の中でぶつぶつ言ってる。よくよく聞いてみたら「おしっこしたいから、また」。そりゃそっか。